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2015年3月11日(水)

年次有給休暇の取得促進

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年次有給休暇の取得促進については、2月12日のエントリーに記した中小企業における月60時間超の時間外労働への割増賃金率の適用猶予廃止などと共に、今通常国会に労働基準法改正案を提出する方向で調整を進めています。

 

労働基準法等の一部を改正する法律案要綱(抜粋)

“使用者は、年次有給休暇の日数が十日以上の労働者に対し、年次有給休暇のうち五日については、年次有給休暇の付与後、一年以内の期間に時季を定めることにより与えなければならないものとすること。
ただし、労働者の時季指定又は計画的付与制度により年次有給休暇を与えた場合は当該与えた日数分については、使用者は時季を定めることにより与えることを要しないものとすること。
注① 使用者が時季を定めるに当たっては、労働者に対して時季に関する意見を聴くものとすること及び時季に関する労働者の意思を尊重するよう努めなければならないものとすることを厚生労働省令で定めることとする。
注② 各労働者の年次有給休暇の取得状況を確実に把握するため、使用者は、年次有給休暇の管理簿を作成しなければならないものとすることを厚生労働省令で定めることとする。”

 

これについては、却ってモチベーションを下げかねない、あるいは国力を損なうなどの意見も見受けられます。確かにそう言った側面はあるかも知れません。しかし、何かを変えようという時に全方位から諸手を挙げて賛成されるという事はないのであって、これまで取得率の極めて低かった業種、職種、事業所などでは取得促進について一定の効果は得られるでしょう。そう言う所では、職員のモチベーションは上がるでしょうし、生産性の向上を齎すでしょう。また、今まで普通に5日以上程度は取得していたような所にはほぼ無関係な訳ですから、それほど神経質にならなくても大丈夫な気が私自身はしています。

 

それより、実際に施行された場合に果たしてどれだけ本気で取り組んでもらえるのか、と言う点の方が疑問です。多くの事業所では、夏季休暇や年末年始休暇は有給休暇とは別に設定されている実態から、計画的付与を使えばクリアできてしまう範疇でもあるので、計画的付与を導入する事業所が増えて終わり、という事になるかも知れません。

 

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